今回の問題が浮き彫りにしたもう一つの課題は、NHKラジオ国際放送特有のオペレーション体制だ。テレビ放送に比べ、ラジオは比較的少人数かつ低予算で運用される傾向が強い。言語ごとに細分化された短波放送やネット配信の現場では、ネイティブスピーカーである外部スタッフへの依存度が極めて高くなっていた。
日本語の標準原稿を多言語に翻訳し、限られた時間内で放送するプロセスにおいて、リアルタイムで正確性をチェックできる職員は常駐していなかった。この言語的壁と人員配置のアンバランスさが、悪意を持った第三者による「電波のジャック」を許す素地を作ってしまった。システム上のチェック機構がないまま生放送を続けた体制そのものが、大きな賭けであったと言わざるを得ない。