矢掛の歴史を語る上で欠かせないのが、全国で唯一、本陣と脇本陣の両方が揃って国の重要文化財として現存している点だ。この貴重な歴史的価値が評価され、エリア全体が日本遺産「旧山陽道矢掛宿」として認定されている。なかでも「旧山陽道矢掛宿本陣」(石井家住宅)は、大名や幕府の要人が宿泊した格調高い建築様式を今に伝え、当時の贅を尽くした意匠の数々には思わず息をのむ。
武士たちが過ごした上段の間や手入れの行き届いた中庭を眺めていると、当時の喧騒と威厳が目の前に浮かび上がってくるようだ。向かいに立つ脇本陣(髙草家住宅)とともに、日本の歴史観光・宿場町散策における屈指の名所として特別な存在感を放っている。