無印良品が放つ独特の佇まいは、どのような思想から生まれているのか。同社のアドバイザリーボードを務めるデザイナーの深澤直人が提唱する「Without Thought(思わず知らずのうちに)」の概念や、原研哉が掲げる「エンプティネス(空)」の美学は、この小さな紙コップホルダー現象にも色濃く影を落としている。
使い手が自分の感性で用途を拡張できる余白があること。ドリンクウェアアクセサリーという狭いジャンルにとらわれず、一つのプロダクトが別の役割を自然と受け入れる柔軟性こそが無印の真骨頂だ。華美な主張を削ぎ落とし、使う人の所作を美しく整える設計思想が根底にあるからこそ、本来は別用途の器であっても、紙カップを包み込んだ瞬間に違和感のない調和が生まれる。