裏社会の構造改革と時代の変遷は、近年、映像カルチャーの世界でも鋭く切り取られている。藤井道人監督の映画『ヤクザと家族 The Family』では、暴力団排除条例によって居場所を失い、社会から不可視化されていくヤクザの三世代にわたる悲哀が描かれ、大きな反響を呼んだ。また、ハリウッドと日本のトップクリエイターが組んだ大作ドラマ『TOKYO VICE』でも、90年代から2000年代にかけて警察と裏社会が繰り広げたギリギリの攻防が鮮烈に描写されている。
これらの作品に描かれる過渡期のリアリズムは、まさに橋本弘文氏が生きた激動の時代そのものと重なる。かつては地域社会の隙間に一定の居場所を見出していた裏社会が、完全に法と社会規範によって締め出されていくプロセス。映像作品が描く乾いた時代の空気は、フィクションの枠を超えて現実の退場劇を克明に物語っている。