日本の映画業界の歴史において、濃い顔のポテンシャルを極限まで引き出した金字塔といえば『テルマエ・ロマエ』だろう。古代ローマ人の役を全員日本人が演じるという奇想天外なコンセプトは、企画段階では誰もが半信半疑だった。
しかし、主演の阿部寛をはじめ、北村一輝といった名だたる名優たちが顔をそろえた瞬間、その懸念は吹き飛んだ。圧倒的な彫りの深さと重厚な演技力。彼らが大真面目に古代ローマ人を演じることで、上質なコメディ映画としての奇跡的なバランスが成立した。CGや特殊メイクに頼り切るのではなく、生身の俳優が持つ顔立ちの説得力で観客を平伏させた傑作実写映画である。