1937年12月、戦火に包まれた南京市街で難民救護に奔走したのが南京安全区国際委員会だった。その委員長を務めたドイツ人ビジネスマン、ジョン・ラーベの筆致は驚くほど克明だ。
後に出版された『ラーベの日記』には、日本軍兵士による不法行為や、安全区への乱入、掠奪の様子が日毎のタイムラインとともに記されている。同盟国ドイツのナチ党員という立場から書かれたこの文書は、政治的プロパガンダの枠組みを超えた第三者視点として極めて高い史料価値を誇る。国際委員会のメンバーが日本大使館に連日送付した抗議文の控えも現存しており、当時の外交官たちが事態をどのように把握していたかを客観的に物語る証拠となっている。