日本国内で「ランプの宿」として知られる名湯は、大きく分けてふたつ存在する。ひとつは今回取材した石川県・能登のよしが浦温泉 ランプの宿、そしてもうひとつが青森県の山奥に佇む青荷温泉 ランプの宿だ。どちらも電気の灯りを極力抑え、ランプの明かりだけで夜を過ごすという共通のコンセプトを持ちながら、それぞれ全く異なる個性を誇っている。
青荷温泉が深山幽谷の渓流沿いで素朴な山の秘湯情緒を漂わせているのに対し、よしが浦温泉は荒波打ち寄せる崖壁というダイナミックなロケーションで洗練されたラグジュアリー空間を提供する。日本の伝統的な湯浴み文化を守り続ける日本秘湯を守る会などの取り組みとも深く響き合いながら、両者はそれぞれの地で独自の発展を遂げてきた。
山の青荷、海のよしが浦。このふたつの宿は、日本の秘湯文化が持つ多様性と奥深さを象徴する存在だ。素朴さを極めた山の隠れ家と、絶景と高級感を兼ね備えた海の隠れ家。それぞれが持つ独特の空気感は、温泉を愛するすべての人々にとって永遠の憧れであり続けている。