この画期的な泳法にその名を残すのは、プエルトリコ出身の元世界記録保持者、ジェシー・バサロだ。1970年代後半、彼は個人メドレーや背泳ぎのターン局面で、水面近くの乱流を避けて深い位置から浮上する独自の潜水技術を編み出した。水面付近の波による抵抗を減らし、体力を温存しながら加速するそのアプローチは、瞬く間に世界のトップスイマーへと波及していった。
バサロが考案した当初の動きは、背泳ぎの姿勢のまま身体をダイナミックにしならせるスタイルだった。これが後にアメリカのデビッド・バーコフや日本の鈴木大地らによって、より鋭利で無駄のないキックへと研ぎ澄まされていく。一人の天才スイマーのひらめきから始まった潜水泳法は、競技の枠組みを揺るがす世界的ムーブメントへと昇華したのだ。