トップクラスのプレゼンテーターや戦略コンサルタントが口を揃えて指摘するのが、ご清聴ありがとうございましたスライド不要な理由の本質である「スクリーンの機会損失」です。米シリコンバレーのピッチコンテストや国内大手企業の経営会議を担当するプレゼンコーチは、取材に対して次のように現場の実態を明かしています。
「プレゼン終了後に質疑応答が15分あるとすれば、その15分間ずっと何が表示されているかを考えてみてください。『ご清聴ありがとうございました』とだけ書かれた画面を見せられ続ける聴衆は、発表の肝心な骨子や自社が取るべきアクションを反芻することができません。もっと言えば、発表者がステージを去る瞬間に最も強く残るべきメッセージが、単なる形式的な挨拶で上書きされてしまうのです」(大手IT企業 エグゼクティブ・プレゼンコーチ)
認知心理学には、提示された情報の最後の部分が最も記憶に残りやすいという「親近効果(リーセンシー効果)」や、体験全体の印象が感情の最高潮(ピーク)と結末(エンド)で決定づけられる「ピーク・エンドの法則」が存在します。ビジネスプレゼンにおける最後の1枚は、まさに「エンド」を司る中核要素です。そこに情報価値が皆無の定型句を配置することは、自ら提案の印象度を薄めている行為に他なりません。これこそが、プロがこのスライドを絶対に配置しない最大の論理的根拠です。