町田店の閉店をめぐっては、一般的なビジネス感覚とは異なる温浴業界固有の構造的背景があります。ネット上で語られがちな誤解を解きほぐしておきましょう。
多くの人が「繁盛店=永続できる」と考えがちですが、温浴ビジネスにおける最大の壁は「減価償却と大規模修繕のサイクル」にあります。初期投資に10億〜15億円を要するスーパー銭湯は、開業から15〜20年間で初期費用を回収し、借地契約の満了時に「巨額の改修投資をして契約更新するか、更地に戻して撤退するか」の二者択一を迫られます。
さらに、東京建物リゾート全体の事業ポートフォリオの変化も見逃せません。同社は近年、旧来型のロードサイド店舗から、埼玉県和光市に開業した「おふろの王様 和光店」のように、ホテルや有料休憩ラウンジ、複合商業空間を融合させた高単価・次世代型ウェルネス施設へのシフトを進めています。敷地面積や建物構造に制約があった町田店は、この長期ブランド戦略の再編対象となったのが実情です。
【プロの結論】サードプレイスの喪失とこれからのスーパー銭湯選びの基準
社会学において、家庭(第1の場)でも職場や学校(第2の場)でもない、心地よい第3の居場所を「サードプレイス」と呼びます。かつてのおふろの王様町田店は、単なる公衆浴場を超えて、世代を超えた地域住民が緩やかにつながる典型的なサードプレイスでした。その喪失は、近隣住民にとって生活リズムの一部がぽっかりと抜け落ちるような心理的影響を与えました。
2026年現在、新たな「お気に入りの湯」を見つけるためには、かつての町田店のどの要素を重視していたかによって目的地を分けることが賢明です。
- 「日常のサ活と強烈なリフレッシュ」を求める人:森乃彩(多摩境)一択。オートロウリュの熱波と静かな外気浴環境は都内屈指のクオリティを誇ります。
- 「湯船に浸かりながらのんびり長時間滞在」を求める人:ロテン・ガーデン(相原)。温泉の泉質が濃く、漫画コーナーや休憩スペースが充実しています。
- 「おふろの王様特有の気楽さとメニュー」に愛着がある人:瀬谷店または海老名店へ足を伸ばすのが最も満足度を高められます。