診察現場で最も警戒されるのが、嚢胞からバルトリン腺膿瘍への移行です。この2つは病態のステージが根本から異なります。
無菌状態で液体が溜まっている「嚢胞」の段階では痛みがほとんどありません。しかし、大腸菌やブドウ球菌、レンサ球菌、時にはクラミジアや淋菌などの細菌が内部に入り込んで感染を起こすと、内部に膿(うみ)が充満する「膿瘍」へと悪化します。
膿瘍化すると、それまで数センチだった腫れが数日のうちにピンポン玉から鶏卵大へと一気に巨大化します。皮膚は真っ赤に腫れ上がり、触れずとも脈打つような激しい痛みを伴い、「陰部のしこりが痛くて歩けない」「座ることもできない」といった状態に陥ります。発熱を伴うこともあるため、痛みの有無は放置してよいかどうかの決定的な分かれ道です。