ウェブ上や動画共有サイトでは、定期的に「温暖化グラフの嘘」を告発すると称するコンテンツが拡散されます。しかし、それらの主張を専門的な見地から精査すると、古典的な詭弁やデータの意図的なトリミングがほとんどであることが分かります。
代表的な懐疑論の言説と、気象庁をはじめとする科学機関が突きつける真相を照合してみましょう。
疑惑1:「中世温暖期のほうが今より気温が高かった」という説
かつてヨーロッパなどで農業が繁栄した中世温暖期(およそ950〜1250年)を引き合いに出し、「昔のほうが温暖だったのだから現在の気温上昇も自然現象だ」とする主張です。しかし、近年の高精度な古気候復元データは、中世温暖期が北大西洋周辺を中心とする地域的な現象に過ぎなかったことを証明しています。地球全体を平均した現在の気温水準は、中世温暖期のピークを科学的に大きく上回っています。
疑惑2:「地球は寒冷化に向かっている」「太陽黒点の減少で氷河期が来る」という説
太陽活動には約11年の周期があり、活動の極小期には太陽放射量がわずかに減少します。一部の言説はこれを誇大解釈し、近未来の寒冷化を主張します。しかし、IPCC最新報告書データの試算によれば、太陽放射の低下による冷却効果は最大でも0.1℃未満にとどまり、排出され続ける温室効果ガスの強力な温室効果を打ち消すことは不可能です。
疑惑3:「観測所の都市化(ヒートアイランド現象)によるデータの水増し」という説
地球温暖化グラフ 気象庁の公表データを歪曲して「都市の排熱を測っているだけだ」と批判する声もあります。しかし気象庁は、都市化の影響が極めて小さい全国15地点の厳選された観測所(網走、根室、石巻、境、浜田など)のデータを用いて日本の平均気温を算出しています。さらに、海面水温やブイ・衛星による世界的な海洋観測データも同様の上昇トレンドを示しており、都市化による水増しという批判は科学的に成り立ちません。