芸能界において、圧倒的な人気を誇る女優やタレントに対して真偽不明の「出自疑惑」が持ち上がる現象は決して珍しくありません。しかし、武井咲の場合は特定の時期に集中的な情報拡散が見られました。メディア報道やネット上のログを遡ると、火のないところに煙が立った決定的な「3つの要因」が浮かび上がってきます。
最大の引き金となったのは、2012年8月に韓国観光公社から「韓国観光名誉広報大使」に任命されたことでした。当時、弱冠18歳でNHK大河ドラマ『平清盛』やフジテレビ系ドラマ『Wの悲劇』など話題作の主演・ヒロインを連続して務めていた彼女が、日本の人気若手女優として隣国の広報大使に就任したニュースは日韓双方で大きく報じられました。就任式見出しや民放特番の密着番組内で「韓国の食や文化が大好きで、プライベートでも訪れたい」と屈託のない笑顔で語った発言を、一部のネットユーザーが過剰に拡大解釈し、「韓国政府から表彰されるほど親密なのは、本人に韓国の血が流れているからではないか」という短絡的な憶測へと飛躍させたのです。
2つ目の要因は、「咲」と書いて「えみ」と読ませる本名の珍しさです。一般的に「咲」という漢字は「さき」「さく」と読まれるケースが多く、「えみ」という読ませ方は初見では珍しく感じられます。この名付けに対して、匿名掲示板などで「通名(日本国内で使用する別名)ではないか」「本名を隠しているのではないか」という根拠のない邪推が書き込まれ、まとめサイトなどを通じて急速に定着してしまいました。
そして3つ目が、オスカープロモーション所属当時の猛烈な露出と、それに伴うネットアンチの反発です。2011年から2013年にかけて、武井咲はドラマ・映画・CMに立て続けに出演し、テレビで見ない日がないほどの過密スケジュールをこなしていました。芸能界の過酷な競争の中で生まれた急激な露出増加に対し、一部のアンチ層から「事務所のゴリ押し」との反発が巻き起こり、攻撃の手段として「在日認定」というステレオタイプな誹謗中傷のラベルが都合よく利用されたという構図が取材から浮き彫りになっています。