もし爪に生じた変色が単なる血腫ではなく、腫瘍性病変であった場合、どのような経過をたどるのでしょうか。爪のほくろと癌の違いを見極めるうえで、臨床的に決定打となる3つの兆候を押さえておく必要があります。
第1の兆候は、「色素の不均一性と非対称な拡大」です。良性のほくろ(爪甲色素線条)であれば、均一な鉛筆の芯のような真っ直ぐで一定の幅の縦線が続きます。しかし、メラノーマの場合は線の太さが根元に向かうほどラッパ状に広がっていたり、1本の線の中に濃い黒と薄い茶色が混在していたりします。
第2の兆候は、「ハッチンソン徴候(Hutchinson's sign)」と呼ばれる皮膚への色素拡大です。爪甲の中にとどまらず、爪の根元の皮膚(後爪郭)や指先の側面の皮膚にまで黒褐色のシミが滲み出るように広がっている場合、悪性黒色腫を強く示唆する決定的な医学的サインとなります。
第3の兆候は、「爪甲の破壊・変形・原因不明の出血」です。腫瘍細胞が爪母の構造を破壊するため、爪が縦に割れる、爪が浮き上がる(爪甲剥離)、わずかな刺激でジュクジュクとした浸出液や出血が見られるようになります。これらの兆候が1つでも認められる場合は、一刻も早い専門医の介入が必要です。