新電元工業の成長エンジンとして、長年市場から熱い視線を注がれてきたのが新電元工業 パワー半導体事業と、高速道路のサービスエリアなどで目にするEV充電器事業です。現在の事業構造はどのような状況を迎えているのでしょうか。
まずEV充電インフラの領域において、同社は日本のCHAdeMO規格発足期から急速充電器の開発を手がけてきたパイオニアです。新電元工業 EV充電器シェアは、国内の公共急速充電スポットにおいて上位の一角を占めてきました。しかし、2020年代半ばにかけて事業環境は激変しました。海外勢の台頭、出力のメガワット化競争、さらにはテスラの北米充電規格(NACS)の日本市場侵入など、インフラ規格と価格を巡る覇権争いが激化しています。
一方、パワー半導体領域では、従来のSi(ケイ素)からSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)への世代交代が進んでいます。新電元工業の強みは、回路技術とモジュール化技術を併せ持っている点にあります。単なるチップの切り出しだけでなく、車載用途で最もシビアに求められる耐環境性や高耐圧パッケージングに強みを発揮してきました。とりわけ二輪車のレギュレータ・レクチファイア(電圧調整整流器)では、ホンダをはじめとする世界の主要二輪メーカーから絶対的な信頼を獲得しており、この「二輪市場での圧倒的な高シェア」が生み出すキャッシュフローこそが、EV・四輪分野での技術開発を支える屋台骨となっています。