「両手で弾かなければピアノ演奏とは呼べない」という固定観念は、今すぐ捨てて構いません。ピアノ片手だけで弾ける曲の中には、右手の単音メロディにピアノ本体のダンパーペダルを踏み込むだけで、豊かな倍音を生み出しサロンのような響きを再現できる楽曲がいくつも存在します。
代表的なアプローチが、映画『戦場のメリークリスマス』のメインテーマ(Merry Christmas, Mr. Lawrence)のメインフレーズです。右手だけでも独特のペンタトニックスケール(ヨナ抜き音階)が美しい余韻を生み出すため、鍵盤をぽんと鳴らして響かせるだけで、聴き手には本格的な演奏に聴こえます。ペダルを適切に踏み替えるだけで残響が重なり、簡単なのにかっこいいピアノ曲へと早変わりする仕掛けです。
左手でルート音(ベースの単音)を1拍目に1回ポーンと鳴らし、右手でゆったりとメロディを歌わせるスタイルを取り入れれば、実質片手演奏の感覚のまま、驚くほど厚みのあるアンサンブルが成立します。難しい手の独立練習をしなくても、豊かな響きを実感できるこの手法は、初心者が最初に試すべき最大の特効薬です。