同校を語る上で避けて通れないのが、大胆な校名変更と共学化の決断です。学校法人武蔵野大学の起源は、仏教学者・高楠順次郎博士が1924年に創設した伝統ある武蔵野女子学院に遡ります。長らく仏教精神(浄土真宗本願寺派)に基づく良妻賢母的な情操教育の場として親しまれてきましたが、2018年の中学共学化、2020年の高校共学化完了によって、その歴史は新章へと突入しました。
関係者の証言や当時の法人発表資料を読み解くと、武蔵野女子学院の共学化の理由には明確な経営的・教育的必然性が存在していました。最大の要因は、1990年代以降に急速に進展した「女子校離れ」と共学志向の高まりです。首都圏の中学受験において共学人気が決定的なトレンドとなる中、単なる少子化対策にとどまらず、併設の武蔵野大学自体のダイナミックな変貌と連動させた改革が不可避だったといえます。
系列の武蔵野大学は、文学部単科の女子大からスタートしながら、いち早く共学化を果たし、有明キャンパスの開設、看護・薬学・データサイエンス・工学系学部の新設など、時代の半歩先を行く改組を連続して成功させてきました。中高もこれに完全に呼応し、「世界の幸せをカタチにする」という理念のもと、男女が協働して地球規模の課題に挑むPBL(課題解決型学習)拠点へと舵を切ったのです。伝統校としての品格を根底に残しつつ、ダイバーシティ(多様性)を取り込む変革劇は、学校再生の成功事例として私学教育界で高く評価されています。