ネット検索や知恵袋などで頻繁に見られるのが、「ワイシャツ 一番下のボタン 外す理由」や「シャツ 一番下 ボタン 留める 留めない」という論争です。「ジャケットの一番下は開けるのだから、シャツも一番下を開けるのがスマートな着崩しではないか」と思い込んでいるビジネスパーソンが後を絶ちません。しかし、編集部が大手服飾研究機関およびテーラー各社に取材したところ、これは完全な誤解であることが判明しました。
結論から述べると、スラックスの中に裾を入れるビジネス用ワイシャツ(タックイン前提のシャツ)は、一番下のボタンまで完全に留めるのが正解です。一番下のボタンを外すと、歩行時や着席時に前立てが左右に裂けるように広がり、スラックスから裾がはみ出る原因になります。
では、なぜ「一番下を外す」という言説が広まったのでしょうか。その元凶は、ジャケットやベスト(ジレ)に適用されるアンボタンドマナー 由来 歴史との混同にあります。
アンボタンドマナー(一番下のボタンを外す慣習)は、20世紀初頭の英国王エドワード7世が太りすぎたため、ベストやジャケットの一番下のボタンを外して着席していたところ、宮廷の側近たちが王に恥をかかせないよう真似をしたことが発祥とされています。このルールは「上着やベストの裾が引っ張られて生地が痛むのを防ぎ、美しいドレープを保つため」に作られた構造上の合理性に基づくものです。一方、下着(アンダーウェア)から派生したシャツは体にフィットさせてタックインすることが前提で作られており、アンボタンドマナーは一切適用されません。