大手クリーニングチェーンの品質管理担当者への取材や、消費生活センターに寄せられる相談事例を分析すると、新JIS規格への移行から年数が経過した現在でも、消費者の誤認によるトラブルが絶えません。SNSや知恵袋などのコミュニティでも「手洗いコースで洗ったのにニットがフェルト化した」「おしゃれ着洗剤を使ったのに縮んだ」という悲鳴が日々投稿されています。
現場のプロが指摘する典型的なトラブル要因は以下の3点です。
- 洗濯機の手洗いコース=「手洗いマーク」対応という思い込み:洗濯機の「手洗いコース」や「ドライコース」は水流を弱める設定ですが、水に浸けること自体に耐えられない繊細な繊維(シルク、レーヨン、カシミヤなど)は、機械水流のわずかな揺れでも繊維同士が絡まり不可逆な収縮を起こします。桶に手を入れている洗濯機手洗いコースマーク(手洗い表示)が付いている衣類は、液温40℃以下で優しく押し洗いすることが本来の基準です。
- アイロン温度記号一覧の無視による化学繊維の融解:ポリエステルやナイロンにドット3つ(高温・200℃上限)のアイロンを直接当てて生地が溶け、テカリや穴あきが発生する事例が多発しています。アイロンマーク内の「・」の数は、1個(低温110℃)、2個(中温150℃)、3個(高温200℃)を示しており、当て布の有無も付記事項で確認が必要です。
- 界面活性剤と漂白成分の併用ミス:「頑固な皮脂汚れを落としたい」と弱アルカリ性洗剤に酸素系粉末漂白剤を混ぜ、中性指定のウール製品を洗ってしまい、動物性タンパク質が溶け出してゴワゴワになるケースが頻発しています。