直筆サインの真贋を判断する上で不可欠なのが、年代ごとの「筆跡スタイルの変遷」を理解することです。宮沢りえのサインは、キャリアのターニングポイントとともに大きく3つのフェーズに分かれます。
① デビュー初期〜アイドル黄金期(1980年代後半〜1990年)
『ぼくらの七日間戦争』や初代リハウスガールとして社会現象を巻き起こした時代です。この時期のサインは、「りえ」の文字を丸みを帯びたポップなタッチで大きく描き、ハートマークやスマイルマークが添えられることが多いのが特徴。全体のストロークが若々しく、勢いのある曲線で構成されています。
② 『Santa Fe』〜激動の20代前半(1991年〜1990年代中盤)
篠山紀信撮影の写真集『Santa Fe』が150万部を超える空前の大ヒットを記録した時期。サインの形状は少しずつ洗練され、アルファベットの「Rie」を崩したスタイリッシュな形状へと移行し始めます。画数は少なくなり、流れるようなスピード感を持った流線型サインが定着しました。
③ 舞台女優・表現者としての成熟期(2000年代以降〜現在)
数々の名舞台を経て日本を代表する大女優となった現在では、無駄な装飾を削ぎ落とした、極めてシンプルかつ凛としたサインへと変化しています。ペンの入りから抜きにかけての迷いが一切なく、芸術的なサイン形状へと昇華されています。