生長の家は、1930年(昭和5年)に谷口雅春(1893–1985)によって創始された新宗教です。雅春氏は早稲田大学英文科中退後、大本(おおもと)の教えや欧米のニューソート(新思考)思想、仏教、キリスト教、神道を深く学び、独自の霊的覚醒を経て雑誌『生長の家』を創刊しました。
教団の根本聖典とされるのが、雅春氏の主著『生命の実相』(全40巻)です。この著作で展開された核心思想は以下の3つの柱に集約されます。
- 人間・神の子(にんげん・かみのこ):人間は本来、神の完全な生命を宿した完全無欠な存在であり、病気や罪、貧困は肉体や現象界の「仮の姿(迷い)」に過ぎないとする教え。
- 唯心実相(ゆいしんじっそう):現象界の苦しみや悪は「心の影」であり、実相(神が創られた真実の世界)には善のみが存在するという認識論。
- 万教帰一(ばんきょうきいつ):神道、仏教、キリスト教など世界の諸宗教は根本において同一の神仏の真理を表現しているとする調和の思想。
戦前の生長の家は、病気平癒や家庭調和、事業成功を求める知識層や中産階級から熱狂的な支持を集め、単なる信仰組織を超えた一大文化運動へと発展していきました。