社会心理学には「水平的敵意(Horizontal Hostility)」という概念がある。強い抑圧や不平等下に置かれたグループの構成員が、優位にある支配層ではなく、同等あるいは近い立場にある身内に攻撃の矛先を向けてしまう現象だ。
権力勾配の上位に存在する対象への抗議はリスクが高い。結果として、よりリスクの低い同身内へ不満が流出する。学術的見地からも、このメカニズムの解明が進んでいる。「嫉妬」という個人内心理に帰着させる従来の言説は、科学的根拠を欠いた浅薄な分析に過ぎないことが明確になりつつある。