この団体の思想的根底にあるのは、幕末の志士を数多く輩出した吉田松陰とその私塾である松下村塾の教えだ。単なる知識の蓄積にとどまらず、国を憂い、行動をもって事態を打開する「知行合一」の熱情が、そのまま指導理念の核心へと落とし込まれていたと見られる。
日本政治思想史研究会の専門家はこう分析する。「近代日本における政治思想史の系譜を紐解くと、明治維新の原動力を現代社会に再解釈しようとする試みは常に存在した。松魂塾もまた、その系譜の延長線上に立つ極めて特殊な集団と言える」。表立って主張を掲げるのではなく、個々の塾生が各界で意思決定に関わることで、自らの理念を密かに具現化しようとした形跡が浮き彫りになっている。