少年たちが次々と血肉に散っていく中、光クラブの中で唯一生き残ったのが、ライチによって誘拐されてきた美少女「カノン」です。
当初、少女をただの「美しい標本」としてしか認識していなかったライチでしたが、カノンからチェスを教わり、ピアノの旋律を聴き、美しい言葉を交わす中で、徐々に「心(魂)」を獲得していきます。人間である少年たちが狂気と獣性に身を落としていくのとは対照的に、鋼鉄の機械であるライチが真の美意識と慈愛に目覚めていく対比は、本作の最も美しいテーマです。
崩壊する廃工場の瓦礫からカノンを守るため、ライチは自らの巨体を盾にして屋根を支え続けます。重傷を負い、燃料であるライチ(果実)を失いながらも、ライチはカノンを工場の外へと無事に送り届けました。朝日が差し込む中、瓦礫の中で静かに機能を停止したライチの横で、カノンが一輪の花を手に救出される結末は、血塗られた地獄絵図の中に描かれた唯一無二の救済と言えます。