服に付着したメイク汚れに対し、最もやってはいけない初期対応が「擦る(摩擦を加える)」行為です。日本繊維製品品質技術センターなどの解析データによると、ファンデーションの主成分である酸化チタンや酸化鉄などの無機顔料は、平均粒子径が0.1〜0.5マイクロメートルという極小サイズで設計されています。擦る圧力をかけると、これらの微粒子が布地の織り目や繊維の隙間(マイクロフィブリル構造)の奥深くへ物理的に埋め込まれてしまいます。
さらに、ファンデーションに含まれるエステル油やシリコーンオイルは強力な撥水性を備えています。濡れタオルなどで水拭きすると、水が油膜に弾かれて油分が周囲へ均一に広がり、乾いた後にいわゆる「ウォーターマーク(輪ジミ)」を形成します。つまり、擦る行為は「染みを落としている」のではなく、「繊維の深層へ染料を刷り込み、面積を数倍に拡大させている」に他なりません。正しい服についたファンデーションの落とし方の第一歩は、触らずに油分を浮かす環境を整えることです。