1980年代、社会現象を巻き起こしたテレビドラマ『スチュワーデス物語』での村沢教官役は、彼の人気を決定づけた。厳しい訓練生指導の裏に優しさを秘めたクールな教官像は、全国のお茶の間を虜にし、今なお語り継がれるテレビドラマ史のアイコンとなった。しかし、彼はその爆発的なアイドル的人気に甘んじることはなかった。
自らの表現を極限まで削ぎ落とし、舞台上でたった一人で何役もの人間模様を紡ぎ出す一人芝居への挑戦を開始。代表作となった『カラオケマン』シリーズでは、冴えない中年男の哀哀とした日常とささやかな希望をユーモアたっぷりに描き出し、海外公演を含め国内外で驚異的なロングランを記録した。大衆的人気と孤高の舞台芸術という両極を自在に行き来する柔軟さこそ、彼の真骨頂である。