めまいを引き起こす内耳性疾患の中でも特に頻度が高いのが、良性発作性頭位めまい症(BPPV)とメニエール病だ。両者は自覚症状に共通点が多いものの、眼球の揺れ方には明瞭な違いが存在する。
朝起きて寝返りを打った瞬間や、高い場所を見上げた瞬間に強い回転性めまいが走るのがBPPVの特徴だ。このとき見られる眼振は、頭の向きを変えた直後に数秒のタイムラグを経て現れ、回転を伴う激しい揺れが30秒から1分程度で急速に弱まる。脱落した耳石が半規管内で移動することで発生するため、頭を動かさずにじっとしていれば症状は沈静化する。
対照的に、激しいめまいとともに難聴や耳鳴り、耳の詰まった感覚(耳閉感)を伴い、発作が数十分から数時間に及ぶのがメニエール病だ。この場合、眼振は頭の位置を変えなくても一定方向へ連続して出現し続ける。水平方向への水平性眼振や旋回性眼振が長く続くのが特徴であり、自覚症状と映像における眼球の動きを照らし合わせることで、二つの病態を客観的に見分けることが可能となる。