杉本達治知事の一連の動きから私たちが学ぶべき最大の教訓は、「大都市圏が消費するエネルギーやインフラの負担を、地方がどのように背負い、どう対価を勝ち取るか」という日本の構造問題です。
関西圏の電力を支えるために原発リスクを引き受けてきた福井県が、新幹線延伸や地域振興という形で国や大都市圏に正当なリターンを要求する姿は、地方分権時代における首長の戦い方のひとつの典型例です。リーダーシップの観点で見れば、感情論を排して「自陣営の強み(エネルギー供給源としての地位)」をカードに変えられる政治家は極めて稀有です。
ただし、この手法は一歩間違えれば「原発依存からの脱却」をさらに困難にするリスクを孕んでいます。目先の財政措置やインフラ整備と引き換えに、次世代へ残る課題をどう清算していくのか。杉本知事の手腕は、まさにこの長期ビジョンの実現度合いによって最終評価されることになります。