TBS朝枠の現在地を正しく理解するには、幾度もの挫折と試行錯誤を繰り返してきた苦闘の歴史を振り返る必要があります。
黄金期を築いた『みのもんたの朝ズバッ!』と『はなまるマーケット』
2000年代、TBSの朝は確固たる地位を築いていました。5時30分からの『みのもんたの朝ズバッ!』は、みのもんた氏の鋭い舌鋒と歯に衣着せぬコメントで高視聴率を連発。続く8時30分からの『はなまるマーケット』(薬丸裕英・岡江久美子MC)は、ワイドショー全盛期においてスキャンダルを扱わず、生活情報に特化して17年半に及ぶ長寿番組となりました。 しかし、2013年にみのもんた氏が降板し『朝ズバッ!』が幕を閉じると、早朝帯の視聴者離れが加速。続いて2014年に『はなまるマーケット』が終了すると、TBSは長きにわたる迷走期へと突入することになります。
『あさチャン!』打ち切りの理由と7年半の葛藤
2014年春にスタートした『あさチャン!』は、フリーアナウンサーの夏目三久氏をメインキャスターに据えて鳴り物入りでスタートしました。爽やかな朝の顔として定着を目指したものの、他局の『めざましテレビ』や『ZIP!』が持つエンタメ性やスピード感に対抗しきれず、世帯視聴率は3〜4%台で伸び悩む日々が続きました。 幾度ものリニューアルや出演者交代を試みたものの、番組の明確なアイデンティティを確立できず、最終的には2021年秋、夏目三久氏の芸能界引退とともに7年半の歴史にピリオドを打ちました。
『グッとラック!』終了の経緯とワイドショー路線の限界
さらに深刻だったのが、8時台の『いっぷく!』『ビビット』を経て2019年秋に立ち上げられた『グッとラック!』でした。落語家・立川志らく氏をメインMCに据え、辛口コメントや激しいスタジオ議論で他局のワイドショーに対抗しようと試みました。 しかし、朝の時間帯に求められる「爽やかさ」や「安心感」と番組のトーンが乖離し、視聴率低迷とSNS上での炎上が常態化。わずか1年半という短期間で打ち切りとなり、制作陣は「他局と同じ土俵でワイドショーを作っても勝機はない」という手痛い教訓を得ることになったのです。この痛烈な反省こそが、完全お笑い情報番組『ラヴィット!』誕生の母体となりました。