インターネット上の投資コミュニティやSNSでは、「中国は輸出を有利にするために意図的に元安を放置している」という言説が散見されます。しかし、これは現代の国際金融構造を無視した典型的な誤解です。
2015年8月に起きた人民元 切り下げ 影響(いわゆるチャイナ・ショック)を想起すれば明らかなように、過度な元安誘導は自国からの急激な「資本逃避(キャピタル・フライト)」を誘発します。資産価値の目減りを恐れた中国国内の富裕層や多国籍企業が一斉に元をドルに換えて国外へ流出させれば、国内金融システムが深刻な流動性危機に陥ります。
したがって、中国人民銀行 為替介入の真の狙いは「元安の推進」ではなく、「急激な元安のスピード調整(ボラティリティの抑制)」にあります。当局は輸出企業の採算維持と、資本流出の抑止という極めて狭いバランスシートの綱渡りを強いられているのが現実です。