「新しい朝が来た」という印象的な歌い出しから、曲名そのものを「新しい朝が来た」と誤認しているケースが多々見受けられます。しかし、文化庁の登録やJASRAC(日本音楽著作権協会)のデータベースに登録されている正式曲名は『ラジオ体操の歌』です。体操の導入部として流れるため、普段は1番しか聴く機会がありませんが、作品は全3番からなる壮大な構成を持っています。
作詞者・藤浦洸氏が紡いだ全3番の歌詞は以下の通りです(著作権法第32条第1項に基づき、研究・解説を目的として引用掲載します)。
『ラジオ体操の歌』 作詞:藤浦洸 / 作曲:藤山一郎
【1番】
新しい朝が来た 希望の朝だ
喜びに胸を開け 大空あおげ
ラジオの声に 健(すこ)やかな胸を
この香る風に 開けよ
それ 一 二 三
【2番】
新しい朝の光 まひるのように
未来をまねく窓に あふれているよ
ラジオの声に 足並みそろえ
清らかな風に 進もう
それ 一 二 三
【3番】
新しい朝の空気 海をこえて
大地を洗う光 かがやいている
ラジオの声に 手足をのばし
生き生きと風に 歌おう
それ 一 二 三
1番に登場する「新しい朝が来た 希望の朝だ 意味」を深く掘り下げると、単なる夜明けの描写にとどまらない深い精神性が浮かび上がります。夜の暗闇や過去の困難を脱し、光あふれる未来へ一歩を踏み出す意志が宣言されているのです。2番では「未来をまねく窓」という表現によって室内から社会へと視界が広がり、3番では「海をこえて」「大地を洗う光」と、視座が国土全体、さらには地球規模の生命感へと広がっていく見事な空間構造を持っています。