ソクラテス「無知の知」は誤訳か?死刑の真相と現代を生きる教訓

ソクラテス「無知の知」は誤訳か?死刑の真相と現代を生きる教訓

ソクラテス「無知の知」は誤訳か?死刑の真相と現代を生きる教訓について見逃せない ポイントを分かりやすい構成で解説いたします。

事の発端は、アポロン神殿が鎮座するデルポイで下された一つの神託でした。ソクラテスの熱烈な友人であったカイレフォンが「ソクラテスより知恵のある者はいるか」と神に尋ねたところ、「ソクラテス以上の知者は一人もいない」という信託が下ったのです。 報告を聞いたソクラテスは狂喜するどころか、深い困惑に陥りました。当時の彼は自分自身に確固たる知恵など何一つないことを誰よりも自覚していたからです。しかし、神が嘘をつくはずもない。神意の真意を確かめるため、彼はアテナイ中の「知者」と名高い政治家、詩人、熟練の職人たちを訪ね歩くという前代未聞の検証を始めました。 対話を重ねたソクラテスが突き止めた事実は、残酷なものでした。高名な知識人たちは、自己の専門領域や権威に惑わされ、人生における善や正義といった根本的な真理を何一つ知らないにもかかわらず、「すべてを知っている」と思い込んでいたのです。ソクラテスはこう悟ります。 「私も彼も善美の事柄を何も知らない点では同じだ。だが、彼は知らないのに知っていると思い込んでいる。私は知らないことを、少なくとも知らないと自覚している。そのわずかな一点においてのみ、私の方が知者なのだ」 神託の謎は解けました。神は「人間の知恵など取るに足らない」という真理を示すための模範例として、自己の無知を知るソクラテスを指名したに過ぎなかったのです。しかし、白日の下に無知を晒された有力者たちにとって、ソクラテスは知恵の探究者ではなく、自尊心を粉々に打ち砕く不愉快極まりない破壊者に映りました。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。