インターネット上には、爪の変色や肥厚に対する様々な「民間療法」や手軽なセルフケア情報が飛び交っていますが、その多くは医学的根拠を欠いており、むしろ症状を悪化させる危険を孕んでいます。
代表的な誤解の一つが、「市販の水虫用塗り薬を塗れば爪も治る」という思い込みです。一般的な足白癬(皮ふの水虫)向けの市販外用薬は、爪のように硬いケラチン組織を透過する設計にはなっていません。どれほど高価な市販薬を表面に塗布しても、有効成分は爪下の病巣まで届かず、貴重な時間と費用を浪費する結果に終わります。
また、「木酢液やお酢に足を浸せば白癬菌が死滅する」「熱湯をかければ治る」といった極端な民間療法も極めて危険です。酸や熱によって足の皮膚が化学熱傷や炎症を起こし、そこから黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入して重篤な蜂窩織炎(ほうかしきえん)を発症するリスクがあります。
さらに、肥厚爪を爪水虫と勘違いして放置したり、逆に爪水虫であるにもかかわらず「ただの靴擦れによる爪の変形」と自己判断して家族にタオルやバスマット経由で菌を広げてしまう見落としも頻発しています。爪の変色はメラノーマ(悪性黒色腫)などの重大な疾患が潜んでいる可能性もゼロではないため、客観的な検査を経ない素人判断は厳に慎むべきです。