メスを入れずに上まぶたのたるみを解消できるとされる施術には、医療用の特殊な糸で留める上まぶたたるみ埋没法や、結膜側(まぶたの裏側)からミュラー筋を縫い縮める切らない眼瞼下垂治療、さらに高周波(RF)や超音波(HIFU)を照射するマシン治療が存在します。これらの治療は、皮膚を切り取る外科手術に比べて侵襲が圧倒的に少なく、施術直後から日常生活に復帰しやすい点が大きな支持を集めています。
では、なぜ「施術を受けてもすぐに元に戻ってしまった」という声が絶えないのでしょうか。取材班が形成外科医および美容外科専門医に徹底取材を行ったところ、皮膚の解剖学的構造と施術の適応における「構造的ミスマッチ」という決定的な事実が浮かび上がってきました。
加齢による上まぶたのたるみは、単に筋肉が緩んでいるだけでなく、長年の紫外線曝露やコラーゲン減少によって「伸びて余ってしまった皮膚組織」が存在しています。切らない治療では、この余剰皮膚を物理的に1ミリも切り取ることができません。糸で引き上げたり折りたたんだりして一時的に二重幅の奥へ隠すか、高周波の熱収縮で皮膚をタイトニングしているに過ぎないのです。
特に上まぶたたるみ埋没法の場合、加齢によってコラーゲン構造が粗雑になった皮膚組織に糸をかけるため、若年層の二重整形に比べて糸にかかる物理的テンションが2〜3倍に増大します。瞬きは1日に約1万5,000回から2万回繰り返されるため、皮膚の重みに耐えきれなくなった糸は徐々に緩み、早い人では術後3〜6カ月程度で「元に戻った」と感じる状態に陥ります。これが「切らない治療はすぐ戻る」という噂の偽らざるメカニズムです。