本曲が合唱コンクール定番曲として選ばれる際、選曲担当の生徒や音楽科教員が最も頭を悩ませるのが「伴奏者の確保」と「合唱形態の選択」です。本作には主に中学校向けの混声三部合唱(ソプラノ・アルト・男声)と、小学校や女声合唱向けの同声二部合唱(ソプラノ・アルト)が存在し、それぞれ要求されるスキルが大きく異なります。
まず注目すべきは平和の鐘伴奏難易度です。ピアノ経験者の基準で言えば「ブルグミュラー25の練習曲」を終え、ソナチネアルバムに入ったレベル(中級前半〜中級)が要求されます。クラシック的な指の独立性よりも、ポップス特有の「疾走感あるビート感」と「右手のシンコペーション」が難関です。イントロから続く躍動的な8分音符の刻み、サビ直前で入るキレのあるキメのリズム、そして間奏におけるオクターブの跳躍は、緊張感のある本番ステージでテンポが走りやすく(速くなりやすく)、伴奏者がプレッシャーを抱えやすいポイントです。
歌唱面においては、混声三部合唱版では声変わり途中の男子生徒が受け持つ「男声パート」の音域設定が絶妙です。過度に低すぎず、エネルギーを込めて地声から裏声へと繋ぐ音域に配置されているため、男子のやる気を引き出しやすい反面、サビで男子が力んで音程がぶら下がるリスクを孕みます。一方の同声二部合唱版は、ハモリの美しさを際立たせるためにアルトの低音域をしっかりと響かせる喉の使い方が求められ、学年やクラスの声質バランスを見極めた編成選択が不可欠です。