大手知恵袋サイトやSNSの投稿ログを精査すると、「歯磨き中に喉の奥を見たら、巨大な赤いぶつぶつが何個も横に並んでいて恐怖で震えている」「舌癌ではないかと怖くて夜も眠れない」といった切迫した相談が、毎月数百件ペースで投稿され続けています。
大学病院や総合病院の口腔外科に勤務する複数の専門医に取材した証言によると、外来を訪れる新患のうち「舌の奥の突起が気になって受診した」と訴える患者の約7割から8割は、病気ではない有郭乳頭や葉状乳頭の確認で診察を終了しているのが偽らざる現場の実態です。
さらに深刻なのは、ネット上の断片的な情報によって過剰な病名不安に陥る「サイバーコンドリア(ネット心気症)」の構図です。気になった患者が指先や歯ブラシで毎日何度も突起を擦ったり、鏡を見ながら舌を無理に引っ張り出したりすることで、正常だった組織に機械的刺激が加わり、二次的な舌乳頭炎を引き起こして痛みを自ら生み出してしまう症例が臨床現場で頻発しています。「痛いからやはり癌だ」という認知の歪みが、自傷的な観察行動によって強化される悪循環が存在します。