炭素と同じ14族元素であるケイ素(Si)も、最外殻に4個の価電子を持ち、炭素と酷似した共有結合の結晶を構築します。ケイ素単体の結晶構造はダイヤモンドと全く同一の結晶格子構造(ダイヤモンド構造)を取り、ケイ素原子1個が4個のケイ素原子と正四面体状に結合しています。ただし、ケイ素は炭素に比べて原子半径が大きいため、共有結合の結合距離が長く、結合エネルギーは炭素同士より弱くなります。その結果、ケイ素の融点は約1414℃とダイヤモンドより低く、エネルギーギャップ(バンドギャップ)が狭まることで、現代のエレクトロニクス産業の中核を担う「半導体」としての特性が発現します。
このケイ素が酸素と結合した「二酸化ケイ素(SiO₂)」もまた、強固な共有結合の結晶です。ここで初学者が抱きやすい最大の疑問が、「二酸化炭素(CO₂)は気体の分子なのに、なぜ同じ14族酸化物の二酸化ケイ素(SiO₂)は超硬質の高融点結晶なのか」という点です。
炭素原子は原子半径が小さいため、酸素原子と安定した二重結合(O=C=O)を形成して小さな分子として自己完結できます。しかし、ケイ素原子はサイズが大きく、酸素原子と安定な二重結合を作ることがエネルギー的に困難です。その結果、ケイ素は酸素原子を介して次々と単結合を広げる道を選択します。
二酸化ケイ素の骨格では、1個のケイ素原子が4個の酸素原子と結合し、1個の酸素原子が2個のケイ素原子を仲介しています。この立体的なSi-O-Si結合が三次元に途切れることなく連なることで、石英(クォーツ)や水晶に代表される堅牢な結晶が完成します。化学式「SiO₂」は単独の分子を表しているのではなく、結晶全体におけるケイ素と酸素の原子数比が1:2であることを示す「組成式」に過ぎません。