鎌倉駅周辺から灰皿が姿を消した背景には、鎌倉市が施行している「鎌倉市路上喫煙の防止等に関する条例」と、古都ならではの地域事情が深く絡み合っています。
鎌倉市は2000年代初頭から路上喫煙防止の取り組みを推進してきましたが、2020年4月の改正健康増進法の全面施行、ならびに近年のインバウンド急増に伴う「オーバーツーリズム(観光公害)」対策として、取り締まりを急激に強化しました。駅前広場をはじめ、若宮大路や小町通り一帯は「路上喫煙等禁止区域」に指定されています。
この禁止区域内では、歩行中の喫煙はもちろんのこと、「立ち止まっての喫煙」や「携帯灰皿を使用した喫煙」も全面的に禁止です。違反した場合は指導員による巡回指導の対象となり、指導・命令に従わない悪質な違反者には過料2,000円が科されます。木造の歴史的建造物が密集する鎌倉において、たばこのポイ捨てによる火災リスクと、狭い路地での受動喫煙トラブルを未然に防ぐことが撤去の決定的な理由です。