マキの木の手入れと一口に言っても、仕立てたい形状や樹齢によって適用すべき技法は異なります。目的ごとの作業時期を厳密に守ることが、失敗を防ぐ最大の分岐点です。
とりわけ庭木の手入れで差がつくのがマキの木の芽摘み時期における手仕事です。主木として仕立てられた段造り(幹から出た枝ごとに平らな棚を作る伝統的仕立て)の場合、5月下旬になると柔らかな黄緑色の新梢が一斉に立ち上がります。これを金属製のハサミで一律に刈り取ると、切断された葉先から樹液が酸化し、数日後に全体が赤褐色に変色して美観を激しく損ねます。熟練の職人は、葉が木質化する前に指先で新芽の中央をねじり取る「芽摘み」を行い、傷口を最小限に抑えることで美しい緑の棚を維持しています。
また、枝が混み合いやすいマキにおいて、マキの木透かし剪定のコツは「下向きの不要枝」「交差枝」「ふこ枝(幹から直接生える細枝)」を付け根から抜き去る点にあります。外側の葉だけを刈り込みバサミで揃え続けていると、内側の枝に光が届かなくなり、フトコロ(樹木の内側)の葉がすべて落葉して中空洞の状態に陥ってしまいます。2〜3年に一度は透かし剪定を組み合わせ、光と風の通り道を確保することが長期的な健康の生命線です。