インターネット上の住宅リフォーム系情報の中には、技術的な根拠を欠いた誤解が散見されます。読者が不利益を被らないよう、プロの建築的知見からこれらの盲点を是正します。
典型的な誤解の筆頭が、「石膏ボードを叩いて中空の音が鳴れば、耐力壁ではないから撤去できる」という言説です。現場で壁を叩いて「コンコン」と軽い音が鳴るのは、下地である石膏ボードと間柱(まばしら)の隙間に空洞があるためであり、その奥に筋交いが斜めに通っているか、あるいは間柱自体が重要な構造荷重を負担しているかは非破壊検査や図面照合を行わなければ判別できません。DIY感覚で開口を試みるのは極めて危険な行為です。
もう一つの盲点は、「マンションの専有部分内にある袖壁なら、管理組合に無断で撤去しても問題ない」という認識です。マンションの袖壁が構造躯体(ラーメン構造の柱から連続するRC袖壁)である場合、そこは専有部ではなく「共用部分」に該当します。共用部を無許可でハツリ解体することは区分所有法違反および管理規約違反となり、工事停止命令や原状回復請求の対象となります。解体可能かどうかは、竣工図面(意匠図・構造図)を取り寄せ、管理組合および施工会社の構造設計一級建築士による厳正な審査を経る必要があります。