安全靴の捨て方|鉄芯は分解不要?自治体・事業者別の正しい処分手順

安全靴の捨て方|鉄芯は分解不要?自治体・事業者別の正しい処分手順

安全靴の捨て方|鉄芯は分解不要?自治体・事業者別の正しい処分手順の具体的な内容に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

安全靴の廃棄において最もコンプライアンス事故が多発しているのが、「個人の家庭ゴミ」と「企業の事業系廃棄物」の混同です。日曜大工や家庭菜園のために個人がホームセンターで購入した安全靴であれば、一般廃棄物として自治体のゴミ収集に出すことができます。しかし、企業が従業員のために購入・支給した作業靴は、履き古したものであっても法律上「産業廃棄物」として扱われます。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)において、安全靴は単一の素材ではなく複合部材の塊です。甲革や布地は「繊維くず」、樹脂ソールや樹脂先芯は「廃プラスチック類」、スチール先芯やシャンク(踏み抜き防止板)は「金属くず」、ゴム底は「ゴムくず」に分類され、これらが一体となった混合産業廃棄物となります。

過去には、一部の企業で処分コストを浮かす目的から「靴は個人に無償貸与したものだから、退職時や買い替え時は各自で自宅に持ち帰って捨てるように」と従業員に指示する悪質なケースが見受けられました。しかし、環境省の行政指導基準において、業務で使用実態のあった保護具を従業員個人に持ち帰らせて家庭ゴミとして投棄させる行為は、排出事業者責任の放棄、すなわち実質的な不法投棄の教唆とみなされるリスクがあります。

業界最大手のミドリ安全など先進的な安全靴メーカーでは、自社製作業靴のリサイクル回収システムを構築しています。事業所からまとまった足数を回収し、金属先芯を製鉄原料へ、ソール材をセメント焼成時の代替燃料やサーマルリサイクルへ回す循環型スキームが定着しつつあります。法人担当者は、目先の処分費用の安さにつられて不適切な指示を出すのではなく、正規の産業廃棄物処理業者と委託契約を結ぶか、メーカーの公式リサイクルプログラムを活用することが不可欠です。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。