SNS上で「10秒でスニーカーが劇的におしゃれになる」と拡散されている動画の中には、人間の歩行バイオメカニクスを完全に無視した危険な裏ワザが散見されます。特に注意すべきは、紐の両端をただ靴底に敷いて踏みつけるだけの方法です。
足病総合クリニックに所属する専門医の報告によると、足裏の土踏まず周辺には無数の末梢神経と血管が集中しています。不均一な靴紐の結び目や硬いアグレット(紐先端のプラスチック・金属パーツ)を全体重で踏みつけ続けた結果、モートン病(足指の付け根付近の神経痛)や足底腱膜の慢性炎症を訴えて受診する若年層の患者が近年増加傾向にあります。
また、「靴紐を全く締めずにユルユルのまま端部を内側に押し込む」スタイルも、重大な歩行機能の低下を招きます。靴の中で足が前方へ滑ることで、つま先がアッパー先端に衝突して爪下が内出血を起こすだけでなく、無意識にかかとが脱げないよう足指を丸めて歩く「ハンマートゥ」の変形を誘発します。見栄えを重視して紐を隠す場合であっても、甲の中腹まではしっかりとアンダーラップで適度なテンションを保ち、最上段の余白部分のみで紐をスマートに処理する構造的アプローチを怠ってはなりません。