万年筆 カートリッジ 交換方法における最重要ルールは、「絶対に回しながら押し込んではいけない」という1点に尽きます。多くの初心者がペットボトルのキャップを開閉する感覚でねじりながら差し込もうとし、首軸内部の芯棒(インク誘導芯)をへし折ったり、開口部を斜めに切り裂いてインク漏壊滅事故を引き起こしています。
基本手順は、軸を垂直に立て、カートリッジの開口部を首軸の突起に対して「まっすぐ一直線にパチンと押し込む」ことです。この際、指先を汚さないためには、乾いたティッシュペーパーをカートリッジの底面に当てて親指で真っ直ぐ押し込むのがプロの手法です。
特に注意すべきは、国内3大メーカーと海外主要ブランドの規格差です。規格が一致しないカートリッジは口径が1mm前後異なるため、絶対に他社製品を流用してはなりません。
各社の規格と差し込み時のチェックポイントは以下の通りです。
- パイロット 万年筆 インクの入れ方:独自規格(IRF-5S等)。差し込み口は透明なディスク状の樹脂弁で封止されています。首軸にカートリッジを垂直にあてがい、親指で水平にまっすぐ強く押し込むと、内部の突起が樹脂弁を押し倒して開通します。斜めに力を入れると弁が挟まって流量低下の原因になります。
- セーラー万年筆 カートリッジ 差し込み方:独自規格。差し込み口が凹型になっており、内部の小さなプラスチック玉が押し込まれることで開通します。首軸を持ち、ブレないように真下に向けて押し込むのがコツです。完全に奥まで突き当たる感触があるまで押し切る必要があります。
- プラチナ万年筆 カートリッジ 向き:独自規格。プラチナのカートリッジ先端には「金属製の銀色ボール(ステンレス球)」が封入されています。これがカートリッジ内の撹拌球を兼ねており、首軸に押し込むと「カチッ」と金属球が内部に落ちる澄んだ音がします。銀色の玉が見える平らな開口部側を首軸に向け、丸いお尻側を外側に向けて差し込みます。
- ラミー(LAMY):ドイツの独自規格。サファリ等で使用する「T10」カートリッジは、くびれた細い先端側を首軸に向けます。首軸に軽くあてがったあと、なんと「胴軸(ボディ)を後ろからねじ込んで締め上げる力で自動的に押し込む」という設計思想になっています。手で押し込もうとして指を痛めないよう設計されている合理的な仕様です。