マリインスキーバレエ激動の現在|永久ももの抜擢と来日公演の行方

マリインスキーバレエ激動の現在|永久ももの抜擢と来日公演の行方

マリインスキーバレエ激動の現在|永久ももの抜擢と来日公演の行方にまつわる役立つ知識を詳しく紐解きます。

ネット上の一部では、「西側から孤立したロシアのバレエ団は著しく衰退しているのではないか」「外国人ダンサーは全員ロシアを去ったのではないか」という安易な言説が散見されます。しかし、現場の取材事実を照らし合わせると、これは明らかな誤解です。

第一に、マリインスキー劇場の付属アカデミーであるワガノワの養成システムは依然として自律的かつ強固に稼働しており、毎年驚異的な身体能力と表現力を備えた新星が舞台へ供給され続けています。第二に、韓国のスターダンサーであるキム・キミンや日本の永久もものように、現地の芸術環境と劇場の信頼を勝ち取って残留し、舞台を守り続けているトップアーティストが存在します。

一方で、見逃せない構造的盲点も存在します。それは「現代的な新作振付の流入停止」です。かつてマリインスキーは、ウィリアム・フォーサイスやアレクセイ・ラトマンスキーら現代最高峰の振付家を招き、古典と先鋭的コンテンポラリーの融合を図っていました。しかし現在、欧米の著名振付家による作品ライセンスの引き上げや新規振付の拒否が続いており、レパートリーが19世紀の古典名作やソ連時代のドラマティック・バレエへと回帰せざるを得ないジレンマに直面しています。

【プロの結論】激動期のバレエ鑑賞において見極めるべき判断基準

芸術と国際情勢が複雑に絡み合う今日、マリインスキー・バレエを鑑賞・支持するにあたっては、観客自身にも成熟した視線が求められます。

  • 熱狂的な鑑賞をおすすめできる層:
    • プティパ、イワノフらが築き上げた19世紀帝政ロシアの「純粋クラシック様式」を極限の精度で体感したい人
    • 永久ももやキム・キミンという、歴史の転換期を生き抜く傑出したアジア人ダンサーの歴史的瞬間を目撃したい人
    • 国家の枠組みと個人の芸術的研鑽を峻別し、舞台上の純粋な美に集中できる人
  • 鑑賞に慎重になるべき、またはおすすめできない層:
    • 欧州最先端のコンテンポラリー作品や、多国籍なコラボレーション作品を好む人
    • 劇場の公的立場や政治的スポンサーシップに対して倫理的な違和感を拭いきれない人
    • 全幕引っ越し公演の完全再現のみを求め、不定期なガラ公演や変則的な来日形態に納得できない人
松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。