呼吸音の聴診部位と異常音の鑑別法!前胸部・背部を網羅する臨床手引

呼吸音の聴診部位と異常音の鑑別法!前胸部・背部を網羅する臨床手引

呼吸音の聴診部位と異常音の鑑別法!前胸部・背部を網羅する臨床手引を詳しくリサーチ! 読者が気になる 情報と解説を凝縮して配信します。

聴診音の評価を難しくしている要因の一つに、「正常な音が聴こえるべき部位に、別の正常音が響いている場合の異常」を正しく解釈できない点があります。まずは健常な肺で聴取される4つの呼吸音の音響的特性を整理しなければなりません。

代表的な正常呼吸音である「肺胞呼吸音」は、末梢の肺野全域で聴取される柔らかく低い音(低調音)です。吸気相全体で聴こえ、呼気相では初期のわずかな時間しか聴取されず、吸気と呼気の間に休止期(ポーズ)はありません。これに対し、胸骨柄付近で聴取される「気管支音」は、中空の太い管を風が吹き抜けるような管状の硬い高調音であり、呼気相の方が吸気相よりも長く、明瞭な休止期が存在します。

臨床において警戒すべき病態は、本来なら柔らかい肺胞呼吸音しか聴こえないはずの末梢肺野で、硬く明瞭な気管支音が聴こえる現象(気管支呼吸音化)です。これは肺炎や肺梗塞などによって肺胞内の空気が浸出液や細胞成分に置換され、肺組織が硬化(コンソリデーション)した結果、太い気道の音が末梢まで効率よく伝達されてしまう物理現象を示唆しています。

そして、正常呼吸音に重なって聴こえる病的な余分な音を「副雑音(Adventitious sounds)」と総称します。副雑音は空気と分泌物の相互作用、あるいは虚脱した気道の急激な再開放によって生じ、音の持続時間によって「断続性ラ音(Crackles)」と「連続性ラ音(Wheezes / Rhonchi)」の2大系統に厳密に区分されます。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。