「たかが議事録の作成で、なぜあそこまで社内評価に差がつくのか」と疑問を抱く若手社員は後を絶ちません。しかし、経営陣やマネジメント層の視点に立つと、理由は明白です。議事録作成を任せれば、その人物の「論理的思考力」「課題解決力」「関係者への配慮(根回し力)」というビジネスのコアスキルがすべて露呈するからです。
議事録が下手な人は、会議の進行を時系列に沿って「Aさんがこう言った」「それに対してBさんが反論した」とテープ起こしのように書き記します。これでは会議に参加していない人が読んでも要点が掴めず、結局「何が決まって、誰が何をすればいいのか」を確認するために余計なコミュニケーションコストが発生してしまいます。読む側に認知的負荷を強いる書類は、組織にとって価値を生みません。
対照的に、議事録上手い人の特徴は、議論が紛糾して混沌とした場であっても「論点はどこか」「何が合意され、何が持ち越しになったのか」を瞬時に抽出する点にあります。認知心理学における「認知的倹約(Cognitive Miser)」の概念が示す通り、人間は膨大な情報から脳のエネルギーを消費せずに要点だけを掴みたい生き物です。上手い人が作る議事録は、上司やチームメンバーの脳のリソースを劇的に節約させます。だからこそ、経営層から「あいつに会議の記録を任せるとプロジェクトが前進する」と絶大な信頼を寄せられ、早期の抜擢や昇進へとつながるわけです。