更年期の気力低下は、決して女性だけの専売特許ではありません。現在、40代後半から60代の男性の間で急速に顕在化しているのが、男性ホルモン(テストステロン)の低下に起因する「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」です。
女性の更年期が閉経前後の約10年間に集中して急激に訪れるのに対し、男性更年期は数年から十数年かけて緩やかに、しかし確実に進行します。主なサインは、仕事に対する決断力の鈍化、慢性的な倦怠感、不眠、そして「休日に何もしたくない」という極度の無気力です。
男性社会においては「男が弱音を吐くべきではない」「働き盛りなのだから気合で乗り切れ」という体育会系的な抑圧が働きやすく、本人が更年期障害であると自覚しないまま、管理職としてのプレッシャーによる「適応障害」や「うつ病」と誤認されるケースが後を絶ちません。夫婦そろって互いに更年期を迎え、家庭内で激しい衝突や冷戦状態に陥る「ダブル更年期危機」も多発しており、男女双方のホルモン動態への正しい理解が不可欠です。