サイバー犯罪者グループは、ユーザーに「冷静な判断を下す時間」を与えないための心理工学的な仕掛けを巧妙に張り巡らせています。SNSや知恵袋、サポート窓口に寄せられる被害報告を精査すると、被害者の多くが共通のパニック状態に陥っている実態が浮かび上がります。
「記事を読んでいたら突然『ブブブブッ』とiPhoneが激しく振動し、画面に『トロイの木馬が検出されました』と表示された。カウントダウンが始まって心臓がバクバクした」(20代女性・会社員)
「『今すぐ修復』というボタンを押したら、App Storeに飛ばされて年間1万円以上かかる不審なセキュリティアプリの課金画面になった」(40代男性・自営業)
ここで多くの人を恐怖に陥れるiPhoneウイルス警告バイブの仕掛けは、実はウェブ標準技術である「Vibration API」を悪用した初歩的なブラウザギミックです。端末の基盤やバッテリーが悲鳴を上げているわけではなく、単にウェブページ側から「端末を振動させろ」というスクリプトが実行されているだけに過ぎません。また、画面上で緊迫感を演出する「残り時間:1分45秒」といったタイマーも、JavaScriptで作られた単なる見掛け倒しのデジタル時計であり、ゼロになったところで端末が爆発したりデータが消去されたりすることは物理的に不可能です。