「朝方に噛まれて放置していたら、夕方には手の甲がグローブのようにパンパンに膨れ上がり、脈打つような激痛で箸も持てなくなった」――救急救命センターには、このような訴えで駆け込む患者が年間を通じて後を絶ちません。猫に噛まれた放置の危険性まとめとして医療現場が最も警鐘を鳴らすのは、症状の進行スピードの異常な速さです。
咬傷からわずか3〜6時間ほどで現れる傷口の腫れや激痛の理由は、猫特有の口腔内常在菌が皮下組織で急速に増殖し、激しい急性炎症反応を引き起こす点にあります。犬の噛み傷が組織の挫滅(すりつぶし)を伴うのに対し、猫の噛み傷は外見上ただの小さな点に見えます。しかし、皮下数ミリから1センチ以上の深部にまで細菌が直接送り込まれているため、皮膚表面の傷口が先に塞がってしまい、酸素を嫌う細菌にとって絶好の密閉増殖環境が完成してしまうのです。
自覚症状として、傷の周囲が赤く熱を帯び、触れていない状態でも心臓の鼓動に合わせて「ズキズキ」「ドクドク」と激痛が走る段階に達している場合、感染はすでに皮下脂肪組織や筋膜へと急速に拡大しています。この段階を「寝れば治るだろう」と放置すると、翌日には菌が血流に乗って敗血症を引き起こし、多臓器不全により命を脅かす事態へと直結します。