三相3線式とは?工場で選ばれる理由と単相との違いを徹底解剖

三相3線式とは?工場で選ばれる理由と単相との違いを徹底解剖

三相3線式とは?工場で選ばれる理由と単相との違いを徹底解剖の疑問点について、専門知識を詳しくお届けします。

工場や大型商業施設において、なぜ家庭用の単相交流ではなく三相3線式200Vが「動力電源」として指定されるのか。その最大の理由は、モーター(電動機)を極めてシンプルかつ力強く回転させられる点にあります。

家庭用の「単相交流」は、1組の波がプラスとマイナスを行き来するだけです。この電気でモーターを回そうとしても、右に回るべきか左に回るべきか定まらず、起動時にコンデンサーや補助巻線を使って無理やり回転方向のきっかけを与えなければなりません。一方、三相交流は120度($\frac{2}{3}\pi$ラジアン)ずつ位相がずれた3つの正弦波交流が同時に送られてきます。3組のコイルを円周上に配置してこの電流を流すと、コイルの中心空間に目に見えない「回転磁界」がひとりでに生まれます。中に導体(かご形ローター)を置くだけで、電磁誘導によって滑らかにトルクが発生し、力強く回転を始めるのです。

製造業の現場で使われる産業用インダクションモーター(誘導電動機)は、構造が堅牢でブラシなどの摩耗部品がなく、数万時間連続稼働しても故障しにくいという特徴を持ちます。このタフなモーターを最も効率よく駆動できる仕組みこそが、三相交流なのです。

さらに見逃せないのが「電線重量あたりの送電効率」です。同じ電力を離れた負荷に送る場合、単相2線式に比べて三相3線式は約75%の電線材料(銅の重量)で済みます。電柱の架線や工場構内に張り巡らされる太い幹線ケーブルの敷設費用を数千万円単位で圧縮できる経済性こそ、三相3線式が産業界を制覇した決定的な要因です。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。